006白濁した塗装のリフィニッシュ
スプルース単板トップとハカランダのサイドバックを採用した、S.Yairiの古いドレッドノートです。
ボディ全体に白濁が見られます。白濁とは塗装の経年劣化のひとつで、木と塗料、塗料と塗料の層に密着不良が生じ、透明性を失って白く濁った状態のことです。また、サウンドホールやピックガード周りのピッキングによる塗装の消耗も目立ちます。
白濁のリペアにはいくつかの方法がありますが、今回は塗装をすべて剥がして新たに塗装を行います。
まずは、作業の邪魔になるためトップからブリッジを外します。トップの塗装をすべて剥がすことで、木部にまで達していないキズであれば消えます。
サイドバックの塗装も剥していきます。
写真の向かって右半分は白濁した層を残してあります。左半分は塗装を綺麗に剥した状態です。見比べると白濁がどういう症状かお分かり頂けると思います。
全ての塗装を剥がしたら、バインディングなどをマスキングしたのち、新しい塗装を吹いていきます。
下地・中塗り・上塗りと数回塗り重ねて、研磨して仕上げます。
ブリッジを元通りに接着し、ペグやピックガードを取り付けます。
弦を張り入念に弦高調整を行って完成です。
装いも新たに魅力の詰まったギターに生まれ変わりました。