077塗装剥離&再塗装(Tacoma / JC50CE4)前編

1991年に創業し、一時はMartin Gibson Taylorに次ぐようなアメリカンギターブランドになるかと期待されたのが、Tacomaというギターブランドです。

Tacomaのギターは、曲線基調のシンプルでモダンなデザインと、木材の特性をしっかり感じられる豊かなサウンドがあり、疑いようのない本質的な魅力があります。2000年代初頭には、国内外の有名アーティストがこぞって使用しました。

そんなTacomaでしたが、ただ1つの致命的な欠点により、瞬く間に市場から姿を消すことになります。

それは、新品から数年という短期間で進行する塗装の白濁です。白濁はどんどん悪化し、最終的には塗装が割れて剥がれ落ちてしまいます。「タコマ ギター」で検索すると、すかさず「塗装 不良」などのワードが出てきてしまうほどです。ネガティブな印象を覆すことができず、2008年にファクトリーを閉じることになります。

近年まで存在したブランドでありながら、プレイし続けるには難のある問題を抱えることで、現存する個体が非常に少ないという特徴があります。しかし前述の通り、本質的に素晴らしいギターですから、手間と時間(とお金)さえかければ、極めて良いギターに生まれ変わります。

この記事が、塗装のせいで弾くことを諦めてしまったTacomaオーナーの目に留まり、セカンドチャンスにつながることを願います。

今回は前編として、劣化した塗装を綺麗に剥す様子をご覧ください。

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