ナット上の弦間隔は、ネックのグリップ形状や指板の幅と共に、演奏感覚を決める重要な要素です。


1弦(E)から6弦(E)までの幅をE to Eと呼びます。


特に近年では、演奏スタイルやテクニックの多様化に伴い、指板幅やE to Eはやや広めが好まれる傾向にあります。ハンマリングやプリングなど動きのあるフィンガーリングにおいて、弦を押さえる指が隣の弦に触れ、意図せずミュートしてしまうミスを、E to Eを少し広げることで低減できます。


今回お預かりさせて頂いたギターは、ナット幅が44mmあるのに対して、E to Eは35mmでした。やや幅広な指板にやや詰まった弦の間隔というのは、オールドファッションなギターにみられる特徴のひとつです。このギターが目指したコンセプトに沿った設計といえますので、それ自体は全く問題ありません。もちろん弾いていて違和感もありません。


ただ、慣れ親しんだ別のギターが広いナット幅とE to Eを採用しているなら、このギターでの演奏が少し窮屈に感じることがあるかもしれません。そういったお悩みがある場合は、できる限り親しみのあるギターの演奏感に近づけるため、E to Eの調整は有効な手段です。


元が牛骨製のナットでしたので、牛骨のブロックから削り出して製作しました。2つのナットのE to Eを並べて比較してみましょう。

works 028-2.jpg

E to Eは、35mmから37mmに拡大していましたが、弦から指板の端までは十分なスペースがあるので、弦落ちする心配もありません。


作業の様子を動画でもご覧ください。

他にも、1弦をプリングする際に弦落ちするから内側に寄せたい、親指で6弦を押さえたりミュートするため外側に寄せたい、などのご要望に合わせたナット製作が可能です。


[作業内容]

ナット製作(牛骨 弦間隔調整) 10,000円

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