パッシブピックアップ&回路を持つ多くのギターの場合、ボリュームを絞って音量を下げると、同時に少なからず高音域も削られます。その結果、小さくてモヤッとした音色となり、バンドアンサンブルの中では埋もれてしまいます。


スムーステーパーボリュームとは、コンデンサーと抵抗器を組み合わせ、特定の周波数以上の成分を逃がすハイパスフィルターの一種です。最近では多くのメーカーで標準搭載されるようになってきています。今回お預かりしたGretsch も、近年のモデルには採用されています。


このG6129T Silver Jet はスムーステーパーボリューム採用前の世代です。お客様はこの個体とは別に、スムーステーパーボリュームが付いたGretsch もお持ちということで、ボリューム操作の挙動が異なることを悩まれていました。


多くのGretsch には、マスター ネックピックアップ ブリッジピックアップ と3つのボリュームポットが付いていますので、3つともスムーステーパーボリューム化します。


GEN INST.のヴィンテージ・マイカコンデンサーと、Xiconのカーボン抵抗を選択しました。

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スムーステーパーボリューム取り付け前後での音色の比較をしております。

動画では、ある程度の大きな音量や、ヘッドホンなどで聴いて頂かないと、違いを感じにくいかもしれません。ただ、顕著な違いがあるようでは効き過ぎということもあります。あまり効果を強く出してしまうと、特に歪みと組み合わせてボリュームを絞った時に、音色が腰高で薄っぺらになってしまうため、狙い通りの穏やかな効果に仕上がっています。また、作業前よりも明らかにハムノイズが低減されていることをご確認頂けると思います。


些細な違いを積み重ねてギターサウンドは出来上がっています。気になることがありましたら、1つ1つ着実に改善していく事が、自分らしいサウンドを生み出すことに繋がっていきます。

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