前置きの話。

当店でおこなうスチールギターの弦高調整には、主に2通りのセッティングがあり、お客様のご要望に合わせてどちらかをお勧めしています。

お勧めの弦高① 6弦2.5mm/1弦2.0mm

この弦高は、ピック弾きでも指弾きでも幅広い用途に対応できます。十分に弾きやすいと感じて頂けるはずです。当店が販売するギターは、基本的にこの弦高に設定しています。

お勧めの弦高② 6弦2.3mm/1弦1.8mm

先程より平均0.2mm低く、明確に弦高の低さを感じることができます。繊細な運指を求められるテクニカルなプレイや、指弾き中心でプレイされる方に好まれています。また、指の力が十分でない初心者や女性にお勧めです。


さて、今回お預かりさせて頂いたギターに話を移します。


このNorthwoodのギターは、弾きたい曲の性質に合わせて、可能な限り低い弦高にしたいというご相談を頂きました。


弦高を低くするほど、より少ない力で弦を押さえられるため、速いパッセージや頻繁なコードチェンジに対応しやすくなるでしょう。しかし、振幅する弦がフレットに当たらないためのスペースが減るため、ビビリを避けるには、指板と平行方向に弦が振幅するピッキングを心がけなければなりません。


また、ネックの状態は天候の影響で、僅かながら日々変化します。ギリギリまで攻めたセッティングにおいては、この僅かなネックの動きでも、演奏感覚の違いやビビる可能性につながります。つまり、より厳密にコンディション管理や調整をして頂く必要がでてきます。


このように、弦高をギリギリまで低くするには、それに伴うデメリットも理解して頂かなければなりません。


加えて、お客様とは過去に何本もギターの調整をお任せ頂いており、プレイスタイルやお好みをある程度こちらが把握できている関係性を築けていました。


前置きが長くなってしまいました。

実際にどこまで弦高を下げられるかはそのギター次第です。無理が出ない範囲で作業を進めていきましょう。

作業前の弦高は6弦2.5mm/1弦2.0mmです。わずかにネックが順反りしていますが、十分快適に弾いて頂ける状態です。

こんな形の特殊なトラスロッドレンチを使用します。

レンチの差し込み口は、ネックの付け根あたりの奥まったところにあります。

順反りを修正すると、弦高は6弦2.3mm/1弦1.8mmになりました。お勧めの弦高②と同じです。通常ならこれだけでOKとなります。

サドルの高さを調整します。削り過ぎれば即ビビリなので、少しずつ慎重に。

ナット溝の調整も慎重に進めます。指先の微妙な感覚だけが頼りです。

いかにギリギリを攻めたセッティングなのか、1フレットと弦の隙間の狭さからお分かり頂けるでしょうか?

フレットの高さを揃える擦り合わせ作業は必須です。

フレット・指板とも綺麗に磨き上げて仕上げます。

仕上りの弦高は、6弦2.1mm/1弦1.5mmとなりました。弦を押さえるというよりも、弦に指を乗せるだけに近い演奏感です。

元のギターの状態が良かったこともあり、狙い通りの結果にできたと思います。

当店がお勧めする①②の弦高以外で、このように特殊なセッティングをご依頼頂く場合、ギターの状態やご希望の内容に応じた別途料金を頂戴いたします。また、弦高を下げた際のビビリやすさは、弾き方次第なところがございますので、場合によっては免責とさせて頂きますことをご了承願います。

[作業内容]

Bメンテナンス 12,000円

特殊弦高追加料金 3,000円

弦代金

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