世の中には数多くのギターメーカーがありますが、エレアコに特化したメーカーという意味ではTakamineほど成功した例はないと思います。日本が世界に誇れるギターメーカーのひとつです。

私がTakamineのエレアコの一番優れていると思う点は、古いモデルも新しいモデルも電装系パーツが同じ規格で作られており互換性があることです。

長年愛用しているエレアコのピックアップやプリアンプが故障したとき、そのモデルが廃番になっているとメーカーからパーツの供給が受けられず、修理ができない可能性があります。しかし、Takamineではそんなことはありません。古いモデルにも現行モデルのプリアンプが取り付け可能なので、最新モデルとして生まれ変わることができる訳です。


ブレることなくエレアコを作り続けることへの強いこだわりや、過去に生産したギターに対する愛も感じられます。

いきなり話が逸れてしまいましたが、今回お預かりしたPT-406 は、古典的なルックスとスモールボディの取り回しの良さがあり、ステージギターとしても優秀なモデルです。

「ビビリがある」「音がこもって感じる」とのご相談を頂きましたので、改善できるポイントを見つけながら作業を進めていきましょう。

調整前の弦高は 6弦2.7mm 1弦2.2mm とやや高めで、ネックは順反りしています。

トラスロッドを時計回りに30度ほど回しましてネックはストレートになりました。弦高が0.2mm低くなりましたので、これだけでも弾き心地はかなり改善します。

ナットは全体に高めですが各弦にばらつきがあります。よ~く観察すると3弦だけ少し低いのがわかりますか?

溝を削って高さを揃えて低くします。

サドルの高さも削って低くします。

サドルの頂点に丸みがあったことが、明瞭に発音されない一因と考えられましたので、やや鋭角になるように削りなおしました。

フレットの高さがわずかに不揃いだと、弦高を下げた時に音詰まりやビビリの原因になります。擦り合わせをすることで改善できます。

(写真 works 145-9)

作業後の弦高は 6弦2.3mm 1弦1.8mm と、作業前より0.4mm低くなりました。軽い力でしっかり押弦できるようになれば、気分的にも素直に音が出ているように感じられますし、覆われていた幕が取れたような本来の音が聴けるようになったと思います。


後日談


ギターをお返しした後に、少しビビリが気になるとのご連絡を受けました。


詳しく症状をお伺いしたところ、ほんのわずかにネックが逆反りになったようです。トラスロッド調整の効果が時間差で現れて効き過ぎることがあります。または、急に気温が低くなったせいかもしれません。


ご自身でトラスロッドの微調整をして頂くことで解消することができました。


[作業内容]

Bメンテナンス 13,000円

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144 バッテリーボックスの取り付け(キャビティ加工)