146 7弦エレクトリックギターのセッティング(MUSICMAN / JP7)
John Petrucciのシグネチャーモデルの7弦ギターをお預かりしました。
Dream Theaterのバンドメンバー全員がそうなのですが、変拍子だろうが超高速フレーズだろうが、それを必死にプレイする感じがなく、豊かな表現力を乗せて弾ききってしまう姿をみると、私のような凡人では「わー」「すげぇー」くらいの感想しか出てきません。そして、私の聴く力のほうが先に尽きます。
光の加減で紫にも緑にも見える美しいフィニッシュ。ピエゾピックアップ内蔵のトレモロユニット。24フレットのネック。右肘が当たる部分のボディがえぐれたようなコンター加工など、アーティストモデルらしい特徴的な仕様が盛り沢山です。
そんなイメージを持っている私が、お客様との話の流れで「Dream Theaterがお好きなんですか?」と尋ねたところ、「いや別にこだわりはなくて、何となく7弦ギターを弾いてみたくて買いました」とのこと(驚)
先入観で話をしてしまった自分にがっかりです。
常日頃から、「ギターメーカーがどのような意図でそのギターを作っているかと、実際にギターを手にしたユーザーがどう使うかは関係ない。自由な発想で使うのがミュージシャンだ!」なんて言っているのに、所詮自分は型通りの人間なのでした。
アツアツで提供されるたこ焼きを冷めるまで待って食べてもいい。マッチョじゃなくたってタンクトップを着てもいい。奥様のお買い物車がランボルギーニでもいい。そういうことですよね。
いつも通り話が逸れていったところで、メンテナンスの様子をご覧いただきましょう。
弦が1本増えただけで、やるべきことに変わりはありません。
作業前の弦高は6弦1.8mm 1弦1.3mmと、テクニカル系のセッティングとしては基準値くらいです。
しかし、ネックが逆反りして音詰まりがありましたので、トラスロッドを反時計回りに90度調整しました。ネックを外さずに作業できるのが良いです。
ネック調整で弦高が変わりますので、サドルの高さでバランスを取ります。
弦高が決まったらオクターブピッチを調整します。
ナットを低くすることが目的ではなく、細かい番手のヤスリを使用して溝の内側を滑らかに整え、チューニングの安定を高めるようにしました。
弦とピックアップの距離を確認し、試奏しながらバランスを微調整します。
作業前の弦高は6弦1.6mm 1弦1.4mmになり、詰まりのないクリアな鳴りを実現できました。
[作業内容]
Aメンテナンス 8,000円