041親のギターを受け継ぐ
家族の誰かが弾いていたらしいギターが物置から出てきたり、処分するのは勿体ないからと友人から譲り受けたりなど、ひょんなことからギターを入手する機会があります。
そのようなギターは長期間放置されていることが多く、弦を交換した程度では満足に弾ける状態にはならないものがほとんどです。しかし、それがギターを始めるきっかけになるなら、少しお金をかけて手直しする価値はあります。
今回お預かりしたギターは、70年代に松岡良治工房にて製作されたAria Dreadnought / D-30 です。お父さんが昔弾かれていたもので、お嫁さんがギターにチャレンジしてみたいので、なんとかこのギターを弾ける状態にできないかとのご相談でした。
アジア製の安価な入門用ギターを購入するより、このギターを直して使うほうが、元のギターの品質はずっと高いものです。なにより、ギターがつなぐ家族の物語になりますので、ご期待に応えられるように頑張らせて頂きます。
ギターの状態を確認します。
古く錆びた弦が張られたままでしたので、ネックがかなり順反りしており、弦高は4mmオーバーです。
フレットが錆びつき、指板がカサカサに乾燥していましたので、フレット磨きと指板の汚れ落とし&保湿を行いました。
全体にほこりや皮脂・たばこのヤニなどが溜まり、固まってしまっています。
クリーナーとワックスを使用して、綺麗に磨き上げました。
4弦ペグを固定する穴が広がってしまいガタついていたので、簡単に穴を埋めました。
全てのペグを緩みなくしっかりと取り付けなおします。
新しい弦を張り、トラスロッドの調整を行います。
順反りを修正した結果、弦高は 6弦3.0mm 1弦2.7mm になりました。さらに弦高調整を進めていきます。
ナット溝を削り、ローポジションの押さえやすさを出していきます。
サドルを削り、ハイポジション側の高さのバランスを整えます。
初心者の女性のためのギターなので、とにかく負担なく押弦できることを重視した調整です。カスタムライト弦を使用して、弦高は6弦2.3mm 1弦1.7mm まで下げていますので、指先を痛めずに楽しく練習して頂けると思います。
ギターを弾くほかにも楽しみの選択肢が沢山ある世の中なので、親兄弟が楽器を弾いているからといって、身内が興味を持ってくれることも少なくなりました。お父さんからお嫁さんへ、もしかするとお子さんへと、このギターを弾いてくれたら、これ以上の幸せはありせんね。
[作業内容]
Aメンテナンス 7,000円
弦代金