010 アジャスタブルブリッジのサドル交換
古いGibson J-45をお使いのお客様から、演奏中にサドル部分から1弦が頻繁に切れるので何とかしたいというご相談です。
早速サドルを見てみましょう。サドルの頂点部分が摩耗して凹んでいることにすぐに気が付きます。長年に渡り弦振動を支え続けた結果です。この凹みが弦の運動を必要以上に固定してしまい、金属疲労が1点に集中することで弦が切れると考えられます。
今回はgraphtechのTUSQ(人工象牙)製のサドルを使用します。元々パワーは十分で良く鳴っているヴィンテージ機ですから、さらに解像度が高いクリアな響きを引き出せると期待が持てます。
既製品のサドルはオーバーサイズに作られており、そのままではブリッジ溝に入りません。幅を削ってフィット感を調整します。
弦高は元のままを維持するというご希望でしたので、サドルの高さは変更せずに取り付け、弦を交換して完成です。
60年代製Gibsonアコースティックギターのひとつの特徴であるアジャスタブルブリッジは、両端のネジを回すことでサドルの高さを簡単に調整できるという、いかにもアメリカ人らしい合理的でかなりの力技なアイデアです。弦振動をボディに伝える重要な部位の構造が変われば、サウンドも大きく変わります。独特のアタック感やドンシャリ傾向の音色、歯切れの良いパーカッシヴな響きを持っています。サステインが短いと言われることもありますが、リズムギターに特化した結果と考えれば肯定的に理解できます。音の余韻ではなく、心地よいキレ味を楽しむタイプのギターです。ウイスキーではなくビールですね。私はアジャスタブルブリッジの方が好みなんです。
[作業内容]
サドル交換 3,000円
弦代金