メンテナンス&リペアの作業紹介をはじめて100回目の投稿になりますが、私の仕事について考える良い機会を得ました。

今回メンテナンスをご依頼頂いたお客様は、最近ギターを購入された初心者に近い方でした。

お客様の話を短くまとめると、購入してから努力を続けてみたものの、まともに音を鳴らすことができず、指が痛くてどうしようもないので、当店にご相談を頂けたようです。

ギターの状態を確認させて頂こうと手に取った瞬間に感じる弦高の高さ。とても弾ける状態ではありませんでした。その事実をお伝えしたところ、購入されたお店の方からは、「ギターの弦高はこれくらいが適正である」という説明を受けられたそうなのです。


実際のギターの状態は、12フレット上の弦高が6弦3.2mm 1弦3.0mmありました。

ネックに定規を当てると、ネック中央付近では定規とフレットの間に大きな隙間が見えます。つまりかなり順反りしているということです。

お客様がおっしゃる通り、いくら努力しても弾けるようにはならないでしょうし、指が痛いばかりで楽しくないでしょう。やがては、ギターを手にする回数が減っていき、弾かなくなってしまい。「努力しても自分には無理だった」という苦い記憶だけが残ります。そのような挫折感を、過去に何億人が経験したことでしょうか。


誤解の無いように書きますが、これはギターの性能や品質の問題ではありません。

最適なコンディションのギターを提供できないばかりか、まだ知識の少ない初心者に対して「ギターとはこういうものだ」と、必要のない苦労を押し付ける無責任な販売者のせいです。


本来なら楽しいギターライフを過ごされるはずが、自分の努力とは無関係に挫折を味わうところでした。そんなことが続けば、ギターはハードルが高い楽器と認知され、せっかく興味を持ってもはじめられない人や、はじめても諦めてしまうが増えてしまいます。


  1. このような負の流れを少しでも食い止めて、ギターを楽しむ方を増やしたい。

  2. すでにギターを楽しまれている方には、楽しみの質を向上させるお役に立ちたい。


私が仕事にできることは、この2点なのだと再認識しながら、いつも通り作業をさせて頂きました。

お客様にギターをお返ししたところ、弾き心地の改善に驚いたような笑顔を頂きました。気持ちを新たに楽しく弾いて頂けそうです。仕事冥利に尽きる瞬間です。

[作業内容]

Aメンテナンス 7,000円

弦代金

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