004テレキャスターのネックピックアップ ハムバッカー化
テレキャスターの魅力として挙げられるのは、芯が太く歯切れの良いパワフルなシングルコイルサウンドですが、それはブリッジピックアップが持つキャラクターです。対するネックピックアップは、やや非力で音が丸く奥まって聴こえてしまう厄介な癖を持っています。魅力がないとは言いませんが、アンバランス感は否めません。
そうなった経緯には正当な理由があります。テレキャスターが製作された50年代初頭に、レオ・フェンダーが考えたこのギターの使い方の1つに、「ネックピックアップのウォームなサウンドでベースラインを弾くことで、ギターリストがベーシストの代りをする」というアイデアがあったと言われています。
現代にはパワーバランスを取られたネックポジション用ピックアップがリリースされており、それらへリプレイスされる方も多いですが、古くはボディに穴をあけて無理やりハムバッカーを載せるホットロッドなカスタムが存在し、1つの定番スタイルとなっています。
前置きが長くなりましたが、今回のお客様からのご依頼はシンプルなもので、「ネックピックアップをハムバッカーにしたい」ということだけが決まっておりましたので、何度か打ち合わせしながら仕様を決めていきました。
[作業内容]
ネックピックアップキャピティの切削加工
ハムバッカーピックアックのご購入&取り付け
ピックガードのご購入
ゲージ変更に伴う弦高調整
[詳細説明]
ルーターを用いたボディの切削加工後の様子。ご希望があれば導電塗料を塗布することも可能です。
選択したピックアップはSeymour Duncan SH-2n Jazz です。ハムバッカーらしさがありながらローが控えめで、スッキリとしたクリアな音像が得られるため、シングルコイルとのマッチングは完璧といえます。
配線の変更はありませんが、余分なハンダを除去して配線しなおしています。
今回はオリジナルのピックガードを加工せずに、あらかじめハムバッカー用の穴が開いた既製品を使用することでコストを抑えました。将来シングルコイルに戻したくなった場合にも安心です。
弦のゲージは009-042を使用されていましたが、これを機に010-046へアップしましたので、サウンド全体のハリ・コシが高まっています。ゲージアップに伴う左手への負担を考慮して、弦高を低めに設定しました。
ハムバッカーのケースが輝いており、ルックス&サウンドともに存在感は抜群です。