140しばらく弾いていなかったギターを復活させる(Washburn / N4)
前回に続き、しばらく弾いていなかったギターを復活させるシリーズの第二段です。
Washburnは、1883年にアメリカ・シカゴで設立したブランドで、マンドリンの製作からはじまり、アコースティックギターやエレキギターの製作へと展開して現在に至ります。
現存するアメリカのギターブランドとしては古参の一つに数えられ、50年歳先輩にMartinがいて、Gretschは同級生、11歳後輩にGibsonがいます。
N4は、EXTREMEのギターリスト Nuno Bettencourt のシグネチャーモデル。いくつかのバリエーションは存在するものの、キャリアを通じてこのギターを愛用し続けています。彼のプレイは独特のタイム感が心地よいグルーヴを生み出し、エモーショナルで華やかな面がありながらも、正確無比な技量の高さには驚愕を覚えます。
私が直接見たアーティストの中でもトップクラスに好きなプレイヤーなので、メンテナンスにも力が入ります。
前置きが長くなってしまいましたが、ギターの状態を見ていきましょう。
調整前の弦高は、6弦2.4mm 1弦2.0mm とかなり高めでした。
ネックは順反りしています。画像はネックをヘッド側から見た様子です。黄色の直線は6弦の位置を表していますが、それと見比べてフレットの端が弓なりに曲がって並んでいるのがわかると思います。
扇型の独特なネックジョイント方式で、ハイポジションの演奏性を高めています。
トラスロッドを80~90度ほど締めました。
フレットの減りが見られることと、弦高を低くする際のビビリを予防するため、フレットの擦り合わせを行います。
指板には皮脂と埃が混ざって固着しており、白い斑点に見えるのはカビですね。
ゴシゴシ。
フレットと指板を磨いて、なんとか綺麗になりました。
フロイドローズトレモロの調整に入ります。6弦と4弦に比べて5弦が低いのが分かりますか?
2弦も低いです。
各弦のサドルの上下調整ができるネジはないので、サドルを外した下にスペーサーを敷いて高さ調節をします。スペーサーは市販もされていますが今回は製作しました。
弦の高さは綺麗に並んでいます。
サドルの前後に調整して、オクターブピッチを合わせます。
調整後のトレモロユニット。できるだけ低く、ボディ面と平行になるようにしました。
弦高が変わったので、ピックアップの高さを合わせます。
電装系のチェックとクリーニング。アウトプットジャックが緩んでいました。
仕上がり弦高は、6弦1.7mm 1弦1.3mm とかなり低くできました。
パワフルですが無駄がなくタイトに引き締まったサウンドで、ディストーションとの相性は抜群です。小振りなボディで取り回しがよく、気持ちよく弾いて頂けるようになったと思います。
[作業内容]
Bメンテナンス 13,000円
弦代金