037 12フレット上の弦高だけでは弾き易さは決まらないという例

Morris / S-125R の弦高調整を承りましたので、早速 弦高をチェックしてみましょう。

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12フレット上の弦高は 6弦2.3mm 1弦1.9mm となっており、弊社がフィンガーピッカーにお勧めしている弦高に準じています。しかし、実際に弾いてみると、かなりストレスを感じます。


弦高は、ナットの高さ サドルの高さ ネックの状態(反り)によって決まりますが、そのバランスが適切であれば弾きやすく、崩れていれば弾きにくくなります。今回のように、12フレット上の弦高がたまたま良さそうに見えていても、各部のバランスは崩れているケースも多くあります。このギターのオーナー様はある程度そのことをご承知のようでしたが、問題の本質に気付かずに悩まれている方もおられるでしょう。


このギターの状態を図説します。

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12フレット上の弦高が同じであっても、特に使用頻度の高いフレットでの弦高が、ネックの状態によって変わってくることがお分かり頂けると思います。


ちなみに、このまま他の部位を調整せずに、ネックだけ順反りからストレートにすると、弦高が今よりも低くなり、ビビリやつまりが生じるであろうことも想像できると思います。フレットの擦り合わせは必須となりますが、必要に応じて少し高めのブリッジに交換することになります。

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ネックを調整してからフレット擦り合わせを行います。

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ネック調整後は一晩そのまま置き、状態が安定していることを確認します。調整後も大きく弦高が下がることはなかったので、サドルの交換は必要ありませんでした。

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ローポジションの演奏性を高めるためにナット溝を調整します。

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サドルは左右のバランスをわずかに修正するだけにとどめました。

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最終的な弦高は、本当の意味での6弦2.3mm 1弦1.8mm となりました。


さすがは、フィンガースタイルギターのレジェンド 中川イサト氏のシグネチャーモデルとして、高い精度で仕上げられたギターです。弦高を低く設定しても無理が生じず、全てのフレットでしっかりと鳴ってくれます。余分な力が要らず、リラックスしながら気持ち良く弾いて頂けるはずです。

[作業内容]

Bメンテナンス 12,000円

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