とあるメールにて

ギターをご購入頂いたお客様とのメールのやりとりの一部をご紹介させて頂きます。


[東京都I様からのメール]

購入して1年ほど経過した Furch / Yellow OMc-CR なのですが、最近 音が変わった気がしています。良くなったと感じるのですが、そういうことってあるのでしょうか?


[私が差し上げたお返事]

良くなったと感じられるのでしたら、きっと良くなっているのでしょうね。

気が付かない間にギターには様々な変化が起こっていますので、ふとした時にこれまでと違うように感じられる事はあります。

▼実際にギターに起こる可能性がある変化の例

長く弾いていれば、各部の木材が振動することを覚えるので、より響きやすくなります。I様のギターは、シダートップですから、優しく・柔らかく・広がりのあるサウンドの傾向が一層強まっていきます。

また、気候や環境の変化の中で、木材内部の水分は緩やかな増減を繰り返しています。多くの場合は、緩やかに乾いていく方向になります。乾燥したギターの音は、天日干ししたコットンのように、サラッと、パリッとした軽やかな質感があります。


もし、ネックの調整が必要になりトラスロッドを締める場合、ネックの内圧が強まることで少し剛性が上がります。それが、芯が通ったサウンドになったように感じたり、サステインが増す効果につながっているかもしれません。

ボディのトップは、弦の張力を受けて、ブリッジを中心に少し膨らんだ形状になっています。Furchの場合は、新品時から1~2mm膨らみが強くなったところで止まるようにデザインされています。膨らみが少し増すことで、トップの鳴りが高まります。

細かな部分では、弦の支点となる ナット・サドル・フレット に当たりが付くことで、弦振動が変化して、角が取れたサウンドになります。

ひとつひとつは微差でしかありませんが、この先も5年・10年と、その変化を成長として楽しめるのが趣味の世界です。

▼演奏者にも起こる変化

そのギターを鳴らす習熟度がアップして、良い音を出すツボを心得ることで、購入初日より現在の方が、確実に良い音を取り出せるようになっているはずです。実はこれが一番大きな変化かもしれません。

もしかしたら、「忙しくて久しぶりにギターを手に取ったので、新鮮な気持ちになれた。」とか、「直前にちょっと良いことがあって、何でもご機嫌に感じられた。」というような、気分の問題だったのかもしれませんが、それもまた人間らしくていいですね。

何にせよ、ふとした気付までも楽しんで頂けているご様子で、嬉しいご報告をありがとうございました。

スタジオエム水野

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