弦は 緩めるor緩めない どっち?

スチール弦のアコースティックギターをプレイされている皆様。

あなたはギターを弾き終わったら弦を緩めて保管していますか?

それともチューニングしたままにしていますか? 

誰もが一度は直面するこの疑問ですが、あなたは 緩める派・緩めない派 どちらですか?


※かなり長文になりそうなので、暇なときにお読みください。


緩めない派の意見

・毎日弾くから、毎回チューニングするのが面倒だ。

・チューニングする時に弦が切れるのが嫌だ。

・緩めず使っていて不都合がないから。

・某米国T社は緩めないことを推奨しているから。



要約すると、日々の手間や弦が切れるリスクを低減しやいという考えのようです。



緩める派の意見

・ギターを休めてコンディションを維持するため。

・過去に緩めずにいたら弦高が上がった経験があるから。

・緩めたほうが良いと誰かに聞いたから。



こちらは、危機管理というかギターをいたわる意識が高いように思われます。


■ギターショップという立場上は「緩める」をお勧めします。


ライトゲージを使用してレギュラーチューニングにした際に、弦は70kg以上の張力でネックとブリッジを引っ張ります。木材で構成されている繊細なギターは、常時その張力に耐えて、弦高を維持し続けることは難しいです。調整が狂えば再調整すればよいのですが、ネックの反りを矯正するトラスロッドはネジですので、ネジ山がある分しか調整ができません。長期的に考えれば、何度も調整を繰り返すことは、ギターの寿命を早めているのと同じです。


「毎日弾くから緩めなくてよい」といっても、24時間365日弾くわけではないでしょう。弾いていない時間の方がはるかに長いはずです。例えば、自動車で毎日通勤される方でも、車を降りるときにはエンジンを切るはずです。家を留守にしている間もエアコンをかけっぱなしにされる方は少ないでしょう。同じ考え方をすれば、「毎日弾くこと」は弦を緩めない理由にはなりません。


チューニングする際に弦が切れやすいのは事実です。これから弾こうと思ってギターを手に取り、チューニングしている時にいきなり弦が切れたら、一気にやる気が失せます。(ギターあるあるですね)それが嫌で弦を緩めない方が一番多い気がします。弦切れはチューニングした回数(弦を曲げ伸ばしして生じる金属疲労)に比例して起こりますので、特に切れやすい3弦と1弦だけ緩めないことでかなり予防効果があります。


T社は弦を緩めないことを公式に推奨していますが、弦高が上がってしまいメンテナンスに持ち込まれる件数は、実際のところ他社と変わりありません。


なお、弦の緩め過ぎも良くありません。

適度な張力がかかっている状態が望ましいので、ペグを半回転から一回転ほど緩めるだけで十分です。



■条件付きで弦を緩めなくてもよい場合があります。



半音下げやDADGADなどのダウンチューニングをメインで使われている場合、そのチューニング自体が弦を緩めている状態ですから、そこからさらに緩める必要はありません。


カスタムライトやエクストラライトなど細いゲージを張られている場合、弦の張力が少ないことで弦を緩めている事と似た状態ですから、そこからさらに緩める必要はありません。


ショートスケールを採用したギターの場合、ライトゲージのレギュラーチューニングであっても、弦の張力が緩くなりますので、それ以上緩めなくても良いかもしれません。


弦を緩めると逆反りしてしまうネックを持つギターの場合、チューニングしたままの方が安定するのであれば緩める必要は無いでしょう。


話をまとめようと思います。

何も気を使わずとも数年安定を保つ個体もあれば、半年に一度の頻度で調整が必要な個体もあります。それも含めてギターの個性です。個性に合わせた管理方法が必要になるため、絶対コレという答えはありません。上記のような内容を踏まえながら、ご自身が最適と思われる方法をとって頂ければと思います。少なくともトラブルのリスクを減らすためには「弾き終わったら軽く弦を緩める」が望ましいです。



おまけに、

ほとんど同じ意味をもつ質問が、もっと身近にあります。

「冬場に薄着で暮らす方が風邪をひきにくい」

「暖かくしている方が風邪をひきにくい」

あなたはどっちだと思いますか?

私は薄着派です。

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