アコギ弾きなら持っておきたいイコライザー
アコースティックギター弾きの皆様は、ギターの生音に対する並々ならぬこだわりを持たれている反面、ピックアップ プリアンプ アンプ エフェクトなどのエレクトリックデバイスに対して、苦手意識を持たれている方もおられると思います。
操作パネルに並ぶノブやボタンの機能を把握して、ライブ会場の音響に合わせて直感的に音作りをするには、かなりの習熟が必要です。
当店でも、ピックアップ搭載や機材購入のご相談を毎日のように頂きます。その中でも、「ある程度の機材は揃えているのに、使いこなせていない。」というお悩みは多いです。
そんな時に、私がお勧めするのが、イコライザーを中心にしたシンプルなサウンドメイクの方法です。
ギター ピックアップ イコライザー アンプ(またはライブ会場のPA)だけで、いつでもどこでもイメージ通りに、基本となるギターサウンドを作れるようにすることが目的です。コンプやコーラス、リバーブなどの色付けするエフェクト類は、一旦置いておきましょう。
イコライザー(この場合はグラフィックイコライザーのことですが、以下EQと呼びます)とは何か。
特定の周波数域を上下させることで、ギターサウンドに含まれる特徴の一部を、強調したり抑制したりできます。太くしたり、スッキリさせたり、マイルドにしたり、煌びやかにしたり、存在感のある音にしたり、周りに馴染ませたり…、使用法は無限です。
アンプにもTreble Middle Bass という3バンド程度のEQが備わっていますが、帯に短し襷に長しで、痒いところにあと少し手が届かないのです。
BOSS GE-7(左)と MXR M109S(右)
機種に迷ったら、このどちらかを選んで頂ければ間違いありません。
お勧めの理由は、大手メーカー製の入手しやすさと安心感。6バンド程度の細か過ぎないシンプルなEQ。フットスイッチでON/OFF切り替えができるという点です。
GE-7は、BOSSの超ロングセラー機種で、7バンドEQとボリュームコントロールが付きます。EQを上げ下げすると、音量も連動して上下するので、最終的に音量調整できることはとても便利です。写真は私物なのでボロくてすみません。
M109Sは、6つのスライダーが格好良く光り、とりあえず格好良い。トゥルーバイパススイッチング(OFFの時に音色変化が少ない)を採用し、ノイズが極めて少ないなど、現代的にブラッシュアップされています。
実際の使用方法をご紹介します。
①接続順
ギター > EQ > アンプ の順で接続します。
②初期セッティング
ギターにボリュームコントロールがある場合は、80~100%程度まで十分に上げてください。ペダルEQはOFFにします。アンプのEQは私用せず、音量は適量にします。
まずは、素のギターサウンドを聴きながら、しばらくギターを弾きましょう。どの成分がもう少し欲しくて、どの成分をもう少し抑えたいかを感じてください。
③音色を調整する前に
EQの各周波数が相当する音色的な役割を下記にまとめました。
■100Hz
ボディやアンプキャビネットの箱なり感、音の奥行きやエアー感を調整する。大音量でプレイする際に音がモヤっとする場合にはカットすると良い。
■200Hz
アンプのBASSコントロールに相当する実質的な低音。上げれば音が太くなると同時に、こもった感じになる。アンサンブル内ではベースギターと重なる帯域なので、ベースギターがいる場合は譲りあってバランスを取る。
■400Hz
ギターの音の太さを調整する。ボーカルの帯域と重なるので、伴奏や弾き語りなら少しカットすると馴染みが良い。
■800Hz
アンプのMiddleコントロールに相当する、ギターの音色の中心的な帯域。上げればゴリッとした質感で存在感が強調され、下げるとスッキリとまとまった音になる。
■1.6kHz
アンプのTrebleコントロールに相当する。ピッキングのアタック感やリズムのキレ味、音の明るさを調整する。
■3.2kHz
サウンド全体の解像度や音ヌケを調整する。上げると新品の弦を張った時のようなメリハリ感がでるが、上げ過ぎると耳障りなノイズに感じる。下げるとしっとり落ち着いた音になる。
④実際に音色を調整する
ペダルEQをONにして、希望するスライダーを少しずつ上下させます。ON/OFFを繰り返して聴き比べ、効果を確認しながら調整してください。
ほとんどの場合、スライダーは数ミリ上下させるだけで十分に効果を発揮します。あまり過度に上下させると、ギター本来のサウンドから遠ざかってしまいます。
私の経験上というか好みの問題かもしれませんが、スライダーを上げていく足し算の調整よりも、スライダーを下げていく引き算の調整のほうが、うまく音がまとまるような気がします。
私が弾くときのEQはこんな感じになることが多いです。場所や機材が変わればEQの設定も変わりますが、使い慣れてくると大体同じサウンドが得られるようになります。
同様のお悩みがある方は、ぜひ試してみてください。